過酸化水素の特徴と利用法

過酸化水素の合成法

過酸化水素は消防法第2条第7項、第6類2号により危険物第6類(酸化性液体)に指定されており、重量%が6%を超える濃度の水溶液は毒物、劇物取締法により劇物に指定されているので、その合成については厳格な管理が求められています。

 

過酸化水素の一般的な生産としてはアントラキノン法があります。これはアントラセン誘導体の自動酸化を利用して生産が行われる方法で、以前では硫酸や硫酸水素アンモニウム水溶液を電気分解させてできるペルオキソ二硫酸を加水分解する生産法も行われていたのですが、電力消費が大きいなどの理由で現在では殆ど行われないようになりました。

 

工業的に実施されているアントラキノン法についても、多段プロセスを要する点や、有機溶媒を必要とすること、副反応を起こすアントラキノンの再生が必要である点など問題点も少なくありません。

 

又、工業的な利用量が増え続けている背景もあって、現在のアントラキノン法に代わる安価な製造法、精製法の研究開発が各所で進められているのが現状です。

 

過酸化水素を蓄積する新しい合成法としては、「Pd触媒による合成」と「燃料電池反応法による合成」という2つが挙げられています。

 

Pd触媒を用いた合成法は、ある触媒を用いてハロゲン化物イオン存在状態をつくり、酸素と水素を酸性条件で直接反応させる方法で、燃料電池反応法は、触媒によって酸素を過酸化水素に還元する方法となっていますが、どちらもまだ開発途上にあります。