過酸化水素の特徴と利用法

過酸化水素の殺菌剤利用

過酸化水素の殺菌剤としての利用は昔から一般的なものとなっています。オキシドールという名前は誰もが知っていると思いますが、これは医療用の外用消毒剤として利用されている3%wの過酸化水素のことで、オキシドール(oxydol)という日本薬局方名の他にオキシフル(Oxyfull)という薬剤名でも呼ばれています。

 

原液のオキシドールは強力な酸化剤で、消毒や殺菌などに使われますが、皮膚に触れると痛みを感じ、炎症をおこすので、薄める時などは保護手袋をして直接手に触れないようにするのが賢明です。

 

こうした強い殺菌作用は飲料生産の充填工程でも利用されています。これは飲料を充填する前に低濃度の過酸化水素水を紙パック内に噴霧して内部を殺菌する方法で、この時、パック内に噴霧された過酸化水素水は、分解乾燥して無害化するために送風が行なわれます。

 

他には細菌の種類判別にも利用されています。多くの生物種は過酸化水素分解酵素のカタラーゼを持っており、生体内での過酸化水素の寿命は極めて短いものです。体内に過酸化水素が侵入するとすぐに酸素に分解されますが、オキシフルを塗布した傷口で酸素の細かい白い泡が発生するのがその現象です。

 

これを微生物分析へ応用したわけで、通性嫌気性細菌と偏性嫌気性細菌の判別を可能にしています。又、食品の苦情対応にも用いられ、生物系の異物が加熱殺菌工程の前後どちらで食品に混入したかを判別しています。